現在執筆中の「今様つれづれ草」の原稿の一部を、無料で公開しております。
つれづれなるままに、ひぐらし、硯にむかひて、こころにうつりゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。
(新潮社創立80周年記念出版「日本古典集成」徒然草序段)
人は、かたち・ありさまのすぐれたらんこそ、あらまほしかるべけれ。物うちいひたる、聞きにくからず、愛嬌ありて、言葉おほからぬこそ、飽かず向はまほしけれ。めでたしと見る人の、心お取りせらるる本性見えんこそ、口をしかるべけれ。しな・かたちこそ生まれつきたらめ、こころはなどか、賢きより賢きにも移さば移らざらん。かたち・心ざまよき人も、才なく成りぬれば、しなくだり、顔憎さげなる人にも立ちまじりて、かけずけおさるるこそ、本意なきわざなれ。(同上第一段抜粋)
筆者は、兼好法師が言っている“あらまほしきひと”とはほど遠い一市井にすぎません。
ただ、太平洋戦争敗戦後の食糧難から高度経済成長、オイルショック、あるいはバブル経済とその破綻、世界的な経済停滞、米国同時多発テロ、湾岸戦争、阪神淡路大震災や東日本大震災に加え、2019年末以降3年余にわたって世界的規模で変異・拡大し続ける新型コロナウイルスの脅威など人々を震撼とさせてきた歴史的な事件や災厄を体験あるいは見聞してきました。
“激動の世紀”を駆け抜けてきた人生をとおして「喫緊の難問」に立ち向かわんとしている現役世代に向け“考えるヒント”となるよう課題を10章にまとめました。皆さまのご参考になれば、筆者としてこれにまさる喜びはありません。
令和5年4月 時流ウオッチャー / ジャーナリスト 和田利秀