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ギリシャ神話「パンドラの箱」は、紀元前700年頃に実在した古代ギリシャの抒情詩人ヘシオドスの著作『仕事と日』に人間に与えられた最後の贈り物として、”希望”が残されたと記載されています。
ゼウスは、プロメテウスが自らの意に背いて人間に火を与えたことに対する罰として、“炎と鍛冶の神”ヘーバイストスに命じ、“人間に災いをもたらすもの”として泥から造られた最初の女性パンドラを与えました。
パンドラには、神々から決して開けてはならないという“甕(かめ:ピトス)”が授けられました。ピトスの中には「病」「犯罪」「嫉妬」「憎悪」「疑心」「写真」「日短」など人間にとってのあらゆる悪が封じ込めてあり、ある時、好奇心を抑えることができなかったパンドラはピトスを開けてしまいます。その瞬間、ピトスに封じ込められていた「諸悪」は解き放たれ、人間の世界を襲いますが、希望(「ἐλπίς」エルピス)だけは放たれず残りました。
災いは人間の意思ではどうにもならないが、希望を持つことで“災い”を克服することができます。「どん底に落ちたら、あとは上がるしかない」とはよく言われますがその原動力になるのが「希望」です。
「逆境の中にあっても希望を持て」言うは易いが実行することは大変難しいことです。希望を実現すには、一人ひとりが別々に考えるのではなく、社会全体が協力、一つになって取り組むことが大切です。
困ったこと、自分で解決できないことがあれば、今は家族や友人、学校の先生、会社の先輩や自治体NPOなどに相談できる救済制度が整備されています。
不幸にして、窮地に陥ることがあっても、決して諦めることなく「希望」を支えに生きることこそ大切です。